FX取引を始める際、最初に直面する重要な決断が「どの通貨ペアで取引するか」です。
通貨ペアの選択は、取引の成功率や利益に大きく影響するため、適当に選んでしまうと思わぬ損失を被る可能性があります。
なぜ通貨ペア選びが重要なのか
FX(外国為替証拠金取引)において「通貨ペア選び」が大切な理由は、取引のリスク・リターン・戦略に直接影響するからです。
本記事では、FX初心者の方でも安心して取引できる通貨ペアの選び方から、具体的なおすすめ通貨ペア7選まで、包括的に解説します。
正しい知識を身につけて、安全で効率的なFX取引を始めましょう。
通貨ペアとは?基本的な仕組みを理解しよう
通貨ペアの構造
通貨ペアとは、FX取引で売買される2つの通貨の組み合わせのことです。
例えば「USD/JPY(米ドル/日本円)」では、左側の通貨(USD)を「基軸通貨」、右側の通貨(JPY)を「決済通貨」と呼びます。
レートの読み方
USD/JPY = 150.50の場合、「1米ドルを買うために150.50円が必要」という意味になります。
このレートが上昇すれば米ドル高・円安、下落すれば米ドル安・円高となります。

初心者が通貨ペアを選ぶ際の5つの重要なポイント
1. スプレッドの狭さ
スプレッドとは売値と買値の差のことで、実質的な取引コストとなります。
初心者は取引回数が多くなる傾向があるため、スプレッドが狭い通貨ペアを選ぶことで、コストを抑えられます。
主要通貨ペアの平均スプレッド(参考値)
- USD/JPY:0.2-0.3pips
- EUR/JPY:0.5-0.7pips
- GBP/JPY:1.0-1.5pips
2. 流動性の高さ
流動性が高い通貨ペアは、注文が約定しやすく、価格の急激な変動も比較的少なくなります。
取引量が多い主要通貨ペアを選ぶことで、安定した取引環境を確保できます。
3. 値動きの予測しやすさ
初心者には、テクニカル分析やファンダメンタルズ分析が効きやすい通貨ペアがおすすめです。
情報が豊富で、市場参加者が多い通貨ペアほど、分析結果が価格に反映されやすい傾向があります。
4. 取引時間の考慮
通貨ペアによって活発に取引される時間帯が異なります。
日本時間での取引を考えている場合は、アジア時間やロンドン時間に活発な通貨ペアを選ぶと良いでしょう。
5. ボラティリティ(変動率)
初心者は、極端に変動が大きい通貨ペアは避け、適度なボラティリティの通貨ペアから始めることをおすすめします。
初心者におすすめの通貨ペア7選
1. USD/JPY(米ドル/日本円)
おすすめ度:★★★★★
最も日本人にとって馴染みやすい通貨ペアです。
情報が豊富で、スプレッドも狭く、初心者の最初の選択肢として最適です。
特徴:
- スプレッドが非常に狭い
- 情報収集しやすい
- 値動きが比較的穏やか
- 24時間取引可能
注意点:
- 大きな利益を狙いにくい場合がある
2. EUR/JPY(ユーロ/日本円)
おすすめ度:★★★★☆
欧州の経済状況を反映しやすく、トレンドが出やすい通貨ペアです。
USD/JPYに慣れた後のステップアップに適しています。
特徴:
- トレンドが継続しやすい
- 欧州時間に活発
- ある程度のボラティリティがある
注意点:
- USD/JPYよりスプレッドが広い
- 欧州情勢の影響を受けやすい
3. GBP/JPY(英ポンド/日本円)
おすすめ度:★★★☆☆
「殺人通貨」と呼ばれることもあるほど値動きが激しい通貨ペアですが、その分利益機会も多く、リスク管理ができれば魅力的です。
特徴:
- 大きな値動きが期待できる
- 短時間での利益確定が可能
- ロンドン時間に最も活発
注意点:
- 変動が大きくリスクが高い
- 初心者は少額から始めるべき
4. AUD/JPY(豪ドル/日本円)
おすすめ度:★★★★☆
資源国通貨として商品価格の影響を受けやすく、比較的トレンドが出やすい通貨ペアです。
特徴:
- 金利差によるスワップポイントが期待できる
- 商品価格との連動性がある
- 中長期投資にも適している
注意点:
- 中国経済の影響を大きく受ける
- 災害などのリスクオフ時に急落しやすい
5. EUR/USD(ユーロ/米ドル)
おすすめ度:★★★★☆
世界最大の取引量を誇る通貨ペアで、最も流動性が高く、スプレッドも狭いのが特徴です。
特徴:
- 世界最大の流動性
- スプレッドが非常に狭い
- テクニカル分析が効きやすい
注意点:
- 円絡みでないため、日本人には馴染みにくい場合がある
- 米欧の金融政策の影響を強く受ける
6. GBP/USD(英ポンド/米ドル)
おすすめ度:★★★☆☆
「ケーブル」と呼ばれる歴史ある通貨ペアで、適度なボラティリティと流動性を持っています。
特徴:
- 歴史があり情報が豊富
- ロンドン・ニューヨーク時間に活発
- ブレグジット関連のニュースに敏感
注意点:
- 政治的要因の影響を受けやすい
- 急激な変動が起こりやすい
7. USD/CHF(米ドル/スイスフラン)
おすすめ度:★★★☆☆
「安全資産」としてのスイスフランの特性を活かした取引ができる通貨ペアです。
特徴:
- リスクオフ時にスイスフラン買いが入りやすい
- 比較的安定した値動き
- 欧州時間に活発
注意点:
- 大きな利益を狙いにくい
- スイス国立銀行の介入リスクがある
通貨ペア選びで避けるべき落とし穴
1. マイナー通貨ペアへの安易な手出し
トルコリラ/円や南アフリカランド/円などの新興国通貨は、高金利が魅力的に見えますが、政治的・経済的リスクが高く、初心者にはおすすめできません。
2. スワップポイント狙いの長期保有
金利差による利益を狙う取引は魅力的ですが、為替変動によるリスクの方が大きい場合があります。
特に初心者は、スワップよりも為替差益を重視した取引から始めましょう。
3. 情報不足での取引
経済指標やニュースの影響を理解せずに取引することは危険です。
選択した通貨ペアに関する基本的な情報は必ず収集しましょう。

実際の取引前に確認すべきチェックリスト
取引環境の確認
- [ ] 選択したFX会社でのスプレッド
- [ ] 取引可能時間
- [ ] 最小取引単位
- [ ] スワップポイントの設定
情報収集体制の確認
- [ ] 経済カレンダーのチェック習慣
- [ ] 関連国のニュース収集方法
- [ ] テクニカル分析ツールの準備
リスク管理の準備
- [ ] 損切りルールの設定
- [ ] 取引資金の上限設定
- [ ] ポジションサイズの計算方法
まとめ:段階的なステップアップが成功の鍵
FX初心者の通貨ペア選びは、安全性と学習効果を重視することが重要です。
まずはUSD/JPYから始めて、慣れてきたらEUR/JPYやAUD/JPYに挑戦し、最終的には複数の通貨ペアでリスク分散を図ることをおすすめします。
重要なのは、一度に多くの通貨ペアに手を出すのではなく、一つずつ特性を理解しながら段階的にステップアップしていくことです。
焦らず、着実に知識と経験を積み重ねて、安全で効率的なFX取引を目指しましょう。
次のステップ
この記事で基本的な通貨ペアの選び方を理解できたら、次は実際のデモトレードで練習を始めてみましょう。
リアルな相場環境で、ここで学んだ知識を実践することで、より深い理解が得られるはずです。
FX取引は正しい知識と継続的な学習が成功の鍵となります。
この記事が、あなたのFX取引の第一歩を支える助けとなれば幸いです。